「神南小学校・渋谷ホームズの建替えに関する説明会」を開催

令和5年7月8日

しぶや区民の声を聞く会事務局


 しぶや区民の声を聞く会は7月8日午後、神南一丁目にて標記説明会を開催いたしました。

1.概要

 (日 時)2023年7月8日 13時~15時

 (場 所)区内

 (登壇者)吉田佳代子(税理士)、森口英晴(不動産鑑定士)、平松けんじThe InterSchool Journal編集長) ※鈴木哲司(大学教授)はビデオ出演。


2.当日の模様(動画・議事録)

森口英晴(以下「森口」) 本日は神南小学校、渋谷ホームズ建替えに関する説明会にご参加下さり誠に有難うございます。私は事務局の森口と申します。本日の説明会を主催しております「しぶや区民の声を聞く会」は先の区長選に立候補いたしました吉田佳代子・鈴木哲司を共同代表として先月発足いたしました。渋谷区政の問題点を行政とは別の視点から掘り起こし、区民の皆様と情報共有させていただいて区政に反映していくことを目的としております。特定の政党・会派には与せず超党派での活動です。本日は神南小学校と渋谷ホームズの第一種市街地再開発事業についてその問題点を指摘して、街区Aの方々、渋谷区民の方々と情報共有させていただくことが本日の説明会の目的となります。冒頭、代表吉田佳代子、鈴木哲司よりご挨拶させていただき、その後スライドとレジメをご覧いただきながら40分程度、計画の問題点を説明させていただきます。その際に吉田とともにインタースクールジャーナル編集長の平松さんにも加わっていただきます。そののち質疑応答に移らせていただきます。ご質問はその際にお願いいたします。なお、コロナ感染が増えてきておりますので、マスク・消毒等ご協力よろしくお願いいたします。また、本日、ご出席者カードへのご協力をお願いしておりまして、後ほど係の者が回収させていただきます。今後の会の情報発信のために利用させていただきますので、また後日コロナ感染者が発生した場合にもご連絡させていただく場合がございます。その他の目的には一切利用しませんのでご安心ください。それでは始めさせていただきます。代表の吉田佳代子さんよろしくお願いいたします。

吉田佳代子(以下「吉田」) 皆様こんにちは。しぶや区民の声を聞く会共同代表をしております、吉田と申します。今日は本当に暑い中、またご多忙の中、こうして神南小学校の問題点の説明会について、皆さんお越しいただきましてありがとうございます。

神南小学校は区役所と共同開発が今進められているところですけれども、今、ホームズの地権者の方々、また賃貸人の方々、こうした方々の取りまとめがまだ完了していない中で小学校の移転、そして建築が進められていく。そういったことになるのです。

こういった不確定な要素がまだまだ多い中でこどもたちの学びの場である小学校がどんどん開発で濁されていく、こうしたこと大人の責任としてどうとらえるのか。やはりこどもたちに良好な教育環境を私たちが提供する。大人が責任をもって提供していく必要があるのではないかと思っています。

今日は事務局の森口さんからわかりやすくご説明させていただきますので、また新しい課題なども見えてまいりますので、どうぞ最後までお付き合いいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

森口 ありがとうございます。なお、共同代表の鈴木哲司氏は本日出席がかなわなかったため、ビデオメッセージにて御挨拶させていただきます。

鈴木哲司(ビデオ出演) しぶや区民の声を聞く会の共同代表を務めております。鈴木哲司でございます。本日は渋谷ホームズに関するこの問題、この説明会にこんなにも大勢の方が来ていただきまして本当にありがとうございます。

また、この問題にとりわけ深い関心をお持ちでおられます、渋谷区議会議員の先生方にもお集まりいただきまして、いかに今この問題が大きな問題であり、そして皆さんの関心を寄せているかということを本当に感じております。

小学校のすぐそばに超高層タワーマンションが建つ、これは教育環境から考えても非常に問題視されるものであると考えております。

また、落下物の問題など子供の命にかかわること、また、渋谷区の大切な財産をどうするかというたくさんの問題が内在しております。これらを解決するためにも今日お集まりの皆様方が忌憚のないご意見を出していただきまして、そして実りある成果を出していただけますことをお願い申し上げまして、私のご挨拶に代えさせていただきます。

森口 これからは事務局の私、森口が中心にご説明させていただきます。簡単に自己紹介させていただきますと、私は幼少期より渋谷区富ヶ谷で育ち、20代は森ビルに勤務して表参道ヒルズの開発等にもかかわっておりましたが、その後地元で不動産・建設業を営んでおります。不動産鑑定士歴は30年以上となります。現在代々木八幡商店会長も務めさせていただいております。

さて、これより5月18日に渋谷区で開催されました神南2丁目・宇田川町地区都市計画変更素案意見交換会におきまして、渋谷区まちづくり課の方より頂いた資料と説明内容をもとに確認してまいります。当時の意見交換会は街区Aの地区計画変更のための説明会で、具体的には神南小学校と渋谷ホームズと区道に限って第一種市街地再開発事業を進めるための説明会でした。渋谷区の意見交換会資料「今後の進め方」をご覧いただく通りまちづくり条例に基づく意見交換会で、このまま進みますと都市計画法に基づく原案の意見交換会に進んでまいります。現時点では渋谷区が主導権を持って意見交換会を開催している状態です。元々街区Aは商業地域で指定容積率が500%に指定されており、現在の渋谷ホームズもその範囲で建物が建てられております。

渋谷ホームズも東武ホテルも南側の建物も昭和55年以前の建物で。(スクリーンの該当部分を示し)こちらですね。特に渋谷ホームズは平成26年の耐震診断によって倒壊の危険が高いという診断が下っているため建替えの必要性に迫られております。ただし、昭和57年以前の旧耐震の建物は大半が倒壊の危険性について指摘されているのが現状です。建替えるにあたって同じ大きさでは建て替え費用が賄えないため、法律によって容積率の緩和を得て大きな建物を建てることで床の一定割合を保留床として建て替え費用に充当するように考えるわけです。これは渋谷ホームズに限ったことではなく世の中で一般的に行われていることです。渋谷ホームズも当初マンション建て替え円滑化法、マンション建て替え法という風に言われていますが、それらの法律によって800%の容積率に割り増して建て替えを検討していました。しかしながら、さらに規模を大きくして、借家人の立退きもスムーズに進むように第一種市街地再開発事業に白羽の矢が立ったわけです。正式には令和3年2月公園通り西地区市街地再開発準備組合理事長名で長谷部区長宛てにご提案が提出されています。

ちょっと文字が霞んで見づらいと思うんですが、年次としましては令和3年2月ということでございました。

内容としましては、

(組合名「ご提案」文章の引用開始)

ご承知の通り渋谷ホームズは建物の老朽化に伴い、2013年より任意のマンション建て替えを含む検討を行ってまいりました。その結果市街地再開発事業による建て替えが望ましいと判断し、2017年4月に公園通り西地区市街地再開発準備組合を組織し、2021年1月時点において、区分所有者237名中221名、93.2%が準備組合に加入しております。現在どのような公共貢献がこの地区にふさわしいのかを検討を含め、事業を精査しております。

渋谷区におかれましては、区庁舎、公会堂の建替え再整備も行われ、更に、学校施設の長寿命化対策に関して、建て替えを含む計画の実施を迫られていると聞き及んでおります。またその中で財政的な観点から民間活力の導入等の一層の創意工夫が必要であるとお考えとも聞き及んでおります。つきましては渋谷ホームズの隣接地となる神南小学校の建替えにつきまして、民間活力の導入の一環として、市街地再開発事業の公共施設整備としてご提供できるのではないかと考え、神南小学校の建替えに取り組むことについてご提案させていただきます。

(引用🈡)

ちょっとすみませんだいぶ古い書面なもんですから、コピーのコピーでちょっと不正確になってしまって申し訳ありません。

手続きは2段構えで、まず地区計画変更によって、神南小学校の容積率のうち91%を渋谷ホームズに移すことで、神南小学校の指定容積率は40.9となってますが、409%ですね。で、渋谷ホームズの指定容積率は650%となります。あわせて区道を廃道して渋谷ホームズの敷地に加えて、渋谷ホームズ再開発棟の敷地面積は3994㎡。約4000平米から4630㎡となります。次に公園通り西地区第一種市街地再開発事業と高度利用地区の指定を受けて、渋谷ホームズ再開発棟の敷地は1000%の指定容積率にアップいたします。小学校の敷地は、409%のままです。これらは手品みたいなものですが、すべて都市計画法上の制度です。しかし何処でも出来るわけではなく、一定の制約と厳しい条件そして何よりも長谷部区長の了解がないと出来ないことです。厳しい条件とは一言で申し上げると徹底した地域貢献、まちづくり貢献がなされることです。そして市街地再開発事業は、公共の建物や施設と民間建物を一緒にしてよい都市空間を形成する整備事業です。しかしながら私たちしぶや区民の声を聞く会はこの度の計画には地域貢献よりも地域に様々な問題を及ぼし、公平性に欠いていることをこれから説明させていただきます。

この図でみますと、まずこの500%という指定容積率から学校の91%の容積率を渋谷ホームズのほうに付け替えることによりまして(渋谷ホームズ敷地は)650%までまず容積率が上がってまいります。併せて道路の廃道によって渋谷ホームズ側の敷地に乗せることで630、610平米とも言われてるんですが、そのような面積を載せてさらに650%まで上がります。で、そのことを市街地再開発事業高度利用地区制限というちょっと都市計画法と建築基準法をミックスされてるんですが、その高度利用地区制限、これ市街地再開発事業を行わないと適用されない法律なんですけれども、これによりまして350%の容積が割り増しを受けまして、トータルで法床面積1000%という容積の緩和を受けて、500%から1000%になるということですね。それで渋谷ホームズの建替えの基礎が形成されるという。そういう図式になっております。

まずそこまでご説明させていただきました。

最初に誤解があるといけないので申し上げておきますが、この度の事業主体は公園通り西地区市街地市街地再開発準備組合ですが、加入者はすべて渋谷ホームズの区分所有者の方々で、渋谷区は最大地権者であるにもかかわらず事業に参加しておりません。渋谷区は今のところ公共施設整備という名目で神南小学校をタダで建替えてもらうというスキームになっております。このことは後ほど公平性の問題でお話させていただきます。広場状空地、プラットホーム機能、防災施設(帰宅困難者受け入れ施設、防災備蓄倉庫)再開発棟に予定されているこれらの施設は、すべて渋谷ホームズ再開発棟の共用部分となり、渋谷区には何の権限もないことが判明しました。しぶや区民の声を聞く会で作成して皆様にお届けしております、チラシの第4の問題点、区の、こちらですね、「区の防災施設を再開発棟に組み込むことは不適切です」という指摘をさせていただいたわけですが、これは大いなる誤解でしてお詫び申し上げます。渋谷区の説明や資料を見て誤解いたしましたが、東京都高度利用地区指定方針及び指定基準に記載されています通り、あくまで渋谷ホームズ再開発棟にとって容積率緩和を受けるための必要な条件でございます。渋谷区がホームズの公園通り西地区市街地再開発準備組合に代わって説明していたわけです。しかしながら国交省の公有地等まちづくり活用事例集をみると「公有地の売却にあたっては、適正な競争により処分価格の最大化を目指す財政健全化への貢献といった視点に加え、地域のまちづくり、地域環境の向上や保全、都市再生への貢献も重要である。」とうたわれております。大阪市の市立愛日小学校跡地と周辺地の再開発事例を引っ張ってみました。全国の自治体は、権利変換におきまして権利床を取得し入札等で処分して財政に組み込むのを行っているのが一般的です。今回渋谷区はですね、第一種市街地再開発事業におきまして、あくまで公共整備という位置づけの中で組合には参加しておりませんが、容積率を移転し、更に区道も廃道にするということなので主たる地権者にもなるはずですけれども、なぜ参加しないのかということは非常に不可解ではございます。

それではまず公開空地、広場状空地と歩道状空地について考えていきたいと思います。

東京都総合設計許可要綱では、計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の外面が歩道状空地で通行可能な部分までの水平距離は当該部分の建築物の高さの平方根の2分の1以上であること。ただし落下物に関する危険防止の措置を講じている場合はこの限りではない。具体的には二重手すり等が想定されますが、それで落下物が完全に防げるわけではなく、上部にバルコニーがある場合は、実際の建築物は高さの平方根の2分の1の範囲にはおおむね緑地帯を設け人の通行が通常できないような措置を講じております。参考例をご覧いただきます。

お隣のパークコート渋谷ザタワーの例をご覧ください。こちらがその平面図になります。配置図です。パークコート渋谷ザタワーの高層階なんですが、こちらが全体の敷地なんですけれども、で、この部分は植樹帯になっておりまして、パークコート渋谷ザタワーは、140m強の高さを有しているんですが、平方根の2分の1ですと約6m程度、落下物の危険がある。いわゆる放物線がこう描いて物が落ちるということを、結果想定して、この間を植樹帯にしているわけです。で、これはこのパークコート渋谷ザタワーに限ったことではなくて、総合設計建物におきましてはおおよそそのような措置が取られております。

すぐ隣なので。これが二重手すりの。間取り図なんですけど、二重手すりになっているんですね。パークコート渋谷ザタワーはすべて二重手すりになっています。

ここ落下物防止のためのモニュメントなんですけど、これは十分ではありませんで、6mは確保されておりません。ただ車両含めたメインの入り口になっておりますが、それ以外の外周部におきましてはこういった植樹帯であって、人の通行が、一般的な通行ができないような配慮がなされております。

すぐ近くですので。本当に。

これブリリア代々木公園クラッシー。富ヶ谷交差点。私ども地元なんですけれども、こちらは高さがですね、65m程度で平方根の2分の1で4mなんですね。で、4m。ここはもう4mのところで建物あがっているんですが、植樹帯になっております。植樹帯になっておりまして入れないようになってます。

このエントランスや入口のところはここは(上部が)サッシー。バルコニーじゃなくてはめ殺しを中心としたサッシーで構成されております。

そうですね、こうやって人が出入りするところは、上がこういう風なバルコニーは避けるような設計になっております。

こちらはテラス美竹の総合設計建物なんですけれども、渋谷美竹ですね。こちらは下層階が事務所。商業施設で。上が住宅になっているんですが、袴をはかせるような形で、上部からの落下物はこの4階の屋上のところで受け止めるような構成になっております。

このようにすべての建物がですね。これ先ほどのあれですね、植樹帯がこういう。高さからして4m、平方根の2分の1なんです。で、これが植樹帯があって。歩道状空地は、全体の歩道状空地として形成しているんですが、植樹帯は建物サイドに歩行者はその先の部分に。このような形が総合設計の本来あるべき姿なんですね。

再開発棟の敷地にそのような形で考えますと、神南小学校や区役所、公会堂に面する広場2号の広場は、イベント空間としては成立しなくなります。素案意見交換会において説明を受けた、人々が団らんしている姿は絵に描いた餅にすぎません。

さらに重大な問題は神南小学校との間に広場状空地は敷地境界、外壁面まで奥行8mしかないため6.12Mの緑地帯を設けると区役所へ通じる通路は幅2M弱の歩行路になってしまいます。

これは順序が逆になっちゃいましたけど、先ほど申し上げましたね。歩行者が建物に沿って歩行する。植樹が外側を植樹しているというパースなんですけれども。これバルコニーが4面に形成されてるんですね、再開発棟は。従いまして当然二重手すりを設けると思うんですけれど、落下物は子供なんかがちょっといたずらして放り投げればそこから落下していくわけなので、全く絶対に物が落ちないという保証はないわけです。

素案の説明会において「現状区道は廃道にする」ことで。ホームズとの間のですね。で、車両の通行が不可能になり、区役所への車両は法務局側の区道からのみとなってしまいます。渋谷ホームズの再開発棟計画をご覧いただくと、歩道と緑地帯が逆転しているわけで、これは由々しき問題です。現在は都市計画上の検討段階ですが、計画が進んで建築基準法上の審査段階になってひっくり返される恐れがあります。可能性があります、と今の段階で申し上げておきます。

渋谷区の総合設計制度の事例をご覧ください。

これですね、総合設計の一覧表をリスト化しまして、最上部に再開発棟の数値を入れ込んだものなんですね。これ渋谷区の総合設計の全事例なんですけれども。すべての事例なんですけれども。ここでパークコート渋谷ザタワー。お隣は4565平米の敷地に対して建築面積が1690平米で、建坪割合が約37%。延床面積が61400平米程度で13.2倍ぐらいですか。延床面積、敷地面積に対してですね。これ、再開発プロジェクトとなっていますが、渋谷ザタワーのことです。これが37%。建坪面積を敷地面積で…37%。こちらが1318%。延床面積を敷地面積で割りますと1318%になりますね。法床面積では900%なんですけど、延床面積っていうのは法床面積に対して容積緩和部分とか合算されてますので1318%。


それに対しまして再開発棟の方は、敷地面積4630平米に対して建坪面積2770平米。そういう意味ではザタワーと比べると相当程度大きいんですね、建坪自体が。で、建築面積を敷地面積で割ると60%。いわゆる敷地の6割が建物が建ってるという状態なんです。で、延床面積に至っては73900平米ですから敷地面積で割りますと1596%。約1600%。敷地の16倍も建物が上に乗っかってるという。そういう按配なんです。

で、建物の高さ150mという形で相当高いんですけれども、横にも縦にものすごいスケールの大きい建物が計画されてるとお判りいただけると思います。ちなみに延床面積を建築面積で割って16倍というのはですね、総合設計制度の中でも実は今までザタワーが一番だったんですね。渋谷区の中で、総合設計の中で。それをはるかに凌駕する16倍の規模の建物が今回計画されているということをお判りいただきたいと思います。

これは今回、総合設計制度を利用するんではなくて高度利用地区というほとんど建築基準法上は容積緩和制度としては似たような制度なんですけど、渋谷区は。ちょっと少し毛色が違うんですが、趣旨としては容積を緩和して、公開空地を設けて、公共貢献をすることによって緩和を得るという意味では基本的な思想は同じなんですね。ですから当然ながら落下物に対する措置ですとか、いろんなことをちゃんと考えていかなければいけない。当然の話なんですけれども、そこが一切無視されているというところが大問題の一つ。大問題だということをご指摘させていただきたいと思います。

このここ、法床面積先ほど1000%と申し上げましたけど、これは総合設計制度において1000%というのは上限中の上限でして、これ以上はもう絶対に受け付けられない上限なんですね。で、総合設計1000%をマックスで利用してる建物はほぼないと思っていただいて結構です。建築面積もギリギリ、容積もギリギリ、すべてギリギリの計画だということです。

で、再開発棟のデザインにつきまして、ちょっと今回どういう意匠で超高級超高層マンションが可能、計画されているかということをちょっとご覧いただけるとよろしいかと思います。じゃあお願いします。

(再開発棟のデザイン表示)

非常に高級な仕様の。でまた各階平面図までは出せてないんですけど、高層階の方になりますと各住戸200平米を超えてくるような計画になっておりまして、金額も2桁の億の計画なんだろうなということが推測されます。

さて次に。次にホームズ再開発棟によって神南小学校の子供たちにどのような影響が生じるのか。この素案の意見交換会で説明を受けた重要な資料なんですけど、先ほどちょっとご説明させていただきました、この絵ですね。容積率を91%移転するという理屈なんですが、開放的な空間を形成するというふうに書いてあるんですね。そのために容積率を移すことが適切である。ただ学校の上空を、開放的な空間を形成するためにわざわざ容積率をこちらに差し上げるというのはどういうことになるのかっていうと、学校の生徒さんたちはここに高い壁が、本来自主的に建てれば100m程度の建物が150mになって、ものすごい巨大な壁ができてしまって閉鎖的な空間になるわけです。小学校の生徒さん、児童さんにとって。で、さらにこれ、なんかこう5月の風のような、風が吹くような絵になってますけど、巨大な壁ができればそこにもし偏西風じゃないですけど季節風が当たれば、巨大な、今度は風害が発生するという恐れがあるわけで、踏んだり蹴ったりになるわけです。小学校の敷地にとっては。そういうことを全然この間の説明会では逆手に取るような形で学校にとって良いことですよ、というような感じの説明でございました。

この件に関してはもう少し深堀りさせていただきたいので、平松さんの方から具体的なご説明の方をよろしくお願いいたします。

平松けんじ(以下「平松」) 教育ジャーナリストをしております、インタースクールジャーナル編集長の平松と申します。私、こどもの自由と人権を守るということでですね、これまで様々取材活動とか記事の執筆をやっておりました。この度はその視点からですね、この問題について話をさせていただきたいと思います。それでは着座で失礼いたします。
今般の渋谷区立神南小学校・渋谷ホームズ建替えで、私が一番問題視しているのは「こどもたちの安全確保」という点です。

計画では、小学校と区道を挟んで隣接するマンション「渋谷ホームズ」が小学校の建て替え費用を負担する代わりに、高さの低い建物。小学校っていうのは基本的に建物高さ低いですよね。この神南小の余剰容積、この雲みたいになってるやつですが、を利用して、さらにその神南小とホームズの間にある区の道路をですね、なくして、その敷地をホームズに渡す。そういうことをすることで、現在高さ60m14階建ての「渋谷ホームズ」を高さ150メートル34階建ての超高層マンション、タワマンに建て替えることとなっています。この計画がですね、実現を致しますと「渋谷ホームズ」の建物は、現在より約6m小学校に近づきます。この画像を見ていただければわかるんですけど、この点線が今のホームズの場所です。これから緑の部分、赤い線で6mと書いていますけれど、6m前に進んでくるわけです。今、左手の神南小学校とホームズさんの間には区道、道路が走っていますが、これをホームズに丸々あげちゃうんで、6m学校に建物が近づくことになります。

はい、4枚目。画像をご覧ください。
これは、約8m離れた地点から撮影した高さ約140mのザ・タワーの画像です。建て替え後の神南小学校の校庭から渋谷ホームズの再開発棟を見上げてみるとだいたいこんな感じになります。

校庭のすぐ近くにこんなバベルの塔みたいなのが建つと、こどもたちに与える心理的圧迫感は計り知れないものがあるのではないでしょうか。

小学校の容積を食い、区道を食い、縦にも横にも大きくなる渋谷ホームズ再開発棟。小学校にビル風の影響が出るのではないか、日陰になるのではないか、さらには、開放型バルコニーだからこどもがよく見えるということでですね、学校側にもバルコニーが向いていますから、物が落ちてきたり、児童への盗撮・覗き見など、こどもたちのプライバシーへのリスクも高まります。

実際、他の自治体においても、学校隣接地の再開発で特にプライバシー面で学校や生徒さんから反対の声が上がる、懸念の声が上がり運動になっている事例もあります。
例えば文京区本郷一丁目のマンション建て替え計画。こちらは桜蔭学園といういわゆる女子御三家の私立の女子中学校・高等学校ですけれども、こちらの隣接地にですね、高さ69m20階建てのタワーマンションが建つということになっていて、隣接する桜蔭学園から日当たりや圧迫感、そしてプライバシーへの心配、こうした声が上がっています。都議会でも都市整備委員会や文教委員会で、校長の陳情が取り上げられ、大きく問題になっています。この桜蔭の横のマンションですけれども、これでも高さ69mなんですね。先ほども申し上げた通り、渋谷ホームズは、学校の真横に高さ150mの建物が立つわけで、全然規模が違います。ありえないと思います。

さらに日テレの本社の再開発のやつですね、跡地の。ここの再開発も隣接する女子学院をはじめ、近隣の複数の女子校、地元からもやめてくれという声があがっています。これも高さは90mにしようかという話でございまして、150mには到底いかないものでございます。

これは約15年前の、渋谷区の富ヶ谷交差点の近く、富ヶ谷小学校から約80メートルの距離がある場所に高さ90mの高層マンションを建てる計画がありました。学校のプールが見えてしまうということでですね、当時住民の方々が反対運動を起こしました。さて、繰り返しになりますが、渋谷ホームズ再開発棟は、神南小学校からわずか8mの距離。そして高さは150m。学校と高層マンションの距離10分の1に縮まっているのに、高さは約1.5倍。あり得ないですよね。住民運動の結果として、当時の桑原区長、渋谷区長はこの計画の開発許可を取り下げました。しかし、これよりはるかにひどい計画が、この渋谷ホームズと神南小の計画なわけであります。

私はですね、今回のこの計画を知って、こどもたちに不安と危険を与える可能性がある、今の計画、これ是非見直して頂いてですね、神南小学校とホームズさんがそれぞれが単独で建替えを行っていただきたい。このように考えています。

こどもたちの安全と人権、これ何よりも守られなければいけません。未来を作る子どもたちのために、どうか皆さんこの問題について知っていただければ幸いです。

以上をもちましてご説明を終わらせていただきます。ありがとうございました

森口 平松さんありがとうございました。それでは次にですね、先ほどご説明させていただきましたが、容積率及び区道をホームズの方に提供することの見返りとして小学校の建築費をホームズの方で負担していただく、というスキームについて、これは低廉譲渡ないしは贈与に匹敵することではないかという指摘もございまして、そこのところを税理士でもある吉田さんに詳しくご説明していただきます。

吉田 みなさん、空中権というのはお分かりになりますでしょうか。空中権というのは、容積率が足りていないところに、余っているところから、譲渡、簡単に言えば、空中権の移転というのは空中権の譲渡になります。その売買について、国税庁では譲渡所得とみなすと。ということになっております。しかしながら、区では地区計画の変更であり、これ空中権の移転ではないという説明をしているんですけれども、どうでしょうか。経済的効果を見ますと、明らかにこれは利益の供与ではないかと思われます。

まずですね、1番目。空中権の譲渡と考えて、ホームズさんが渋谷区に空中権を支払っていただいた場合、どんな効果があるか。だいたいこの空中権の算定ですけれども、全体として800億から1000億と計算されております。たとえば、今、100㎡の区分所有者の方が、これ、100㎡の区分所有者の事例なんですけれども、9000億円として、空中権を計算しますと、その方の空中権の負担というのは、4億5000万円として計算されます。売却価格、これも今の時価からして計算しているんですけれども、売却価格から空中権を引きますと、9000万円となります。そして、このマージンですね、売った場合、譲渡所得がかかりますので、長期譲渡所得、20.315%をかけますと、譲渡所得税、住民税が1,828万3,500円かかります。こうして、手取り額を見ると、7,171万6,500円として計算することができます。

では2番目です。この空中権を負担しない場合。贈与と考えられるのではないか。これはですね、国税庁の税務当局がどう判断するかという問題になるんですけれども、贈与とみなされた場合、1億970万円贈与税がかかります。そして、そちらから、譲渡所得税をひきますと、1億8,740万円の手取り額になる。こういった経済効果になります。

そして、3番目。贈与にもならない、そして空中権の移転にもならない。これが一番手取り額が多くなりますね。5億4000万円の譲渡所得だけ払えばいいということになりますので、手取り額4億3000万ということになります。

どうでしょうかこれ、見ていただいて。明らかに利益の供与に見えませんか?数字だけで見ますと。これがどうして、区の方で空中権の移転ではないという説明なのかな。明らかで数字で見ますと、利益が移転されてるというふうに私は考えております。これ、税理士の立場からですね、税法に基づいて、計算をさせていただきました。なにかご参考になればと思います。ありがとうございました。

森口 吉田先生ありがとうございます。今お示しいただいた取得原価ですとか、国税当局の判断等おありになると思うんですけれども、やはりこういった大きなことをやろうとする場合に、いろんなことを想定しながら実際に事故が起きないように進めていく必要があると思いますので、そういった意味で非常に参考にしていただければと思います。


それでは次に評価損益修正版についてご覧いただきます。今あの皆さんのお手元にもお配りしている資料でございますが、B4判の二つ折りにしているものでございます。

こちらでですね、この上段が現状の各々の敷地面積、都市計画法上の規制、建物床面積、次に地区計画変更と市街地再開発事業の指定による高度地区制限による緩和によってそれぞれどのような面積や床面積、法床面積、延べ床面積、推移していくかというものがこちらの表で分かります。

学校の敷地は今500%ですので、ダウンサイジングするんですが、再開発棟の方はパワーアップしていく、法床面積が、もともとこちらの法床面積がですね、19969平米だったものが46300平米までアップグレードするという、そういうような図式になっております。その一端は区道の610平米という見解もあるんですが、630平米がおりてきて渋谷ホームズ敷地に加わることになります。それに対してですね、今度じゃあどの程度渋谷ホームズさんのほうで開発利益が生まれるのかという、それをちょっと計算してみました。こちらはですね、まずその全体の専有床面積、売却床面積の中でその増えた分を、売れる床に舞い戻したときにどのぐらいの坪数かって計算しまして、それが5894坪相当になりますね、という計算式でございます。で、この5890…。これ坪ですね。それで販売価格が1061億という金額。膨大な金額なんですけれども、これはあくまで床が増えた分、元々ホームズ500%(に相当する)床面積の部分は除外して、今回のこの再開発によって床が増した部分についての価値の増分について計算しているわけですけど。

この坪単価1800万とさせていただいたのは、横にですね再開発棟のそれぞれの各階ごとの販売床、専有床を全部こう数値化しております。で、それぞれ各階ごとの販売坪単価を設定しまして、それを総合計したものを総床面積で割り戻すと1800…坪当たり1811万ほどになるものですから1800万というふうなおき方をさせていただいております。それに床の増分の5894坪をかけまして1061億と、それに対してその部分の工事費を、坪当たり、販売床に対する坪当たり300万でかけて177億、約180億。販売経費が約100億。で、神南小学校の建替え費用を90億程度負担するとしますと、渋谷ホームズさんの方の開発利益が600…約700億弱に相当します。それに対して神南小学校の方が建ててもらうだけですから91億と。で、差し引きで778億。これいってこいなので、実際の開発利益はこういう諸経費を引くと800億弱程度かなというのが目算というか概算。あくまで概算なんですけれども、そういったことです。で、下段は土地の評価を勝手にしております。で、この土地の評価につきましては現状はこのような面積配分になりまして、渋谷ホームズさんのほうが坪4000万、神南小学校の方が坪2000万と想定しますとだいたい(総額が)トントンなんですね、評価額が。で、466億が学校に渋谷ホームズが483億と。それに対して今回このようなプレゼントによってですね、渋谷ホームズさんのほうのですね、この評価額が一気にアップしまして坪8000万で面積も増えますので、全体の(再開発棟)計画敷地のうちの評価額1120億。神南小の方は容積がダウンサイジングしますので坪単価が1500万まで下がって350億。神南小の土地の評価額が120億程度下がって、このホームズさんの方の土地の評価が600億以上の評価増になる。で、差し引き520億程度の評価増ということになるわけですけれども、それは容積の割り増しを受けてるからですね。ということなんですね。

ただし、ただしですね、こういう市街地再開発というのはあくまでホームズさん一件で行えるものではなくて、区道ですとか、学校ですとか、地域全体の貢献によって再開発がなされるものですからそれぞれ従前の地権者の評価額及び土地の面積によってこういう評価益というのは案分するというのが、市街地再開発の根底にあるんですね。考え方に。それでもって面積と評価でそれぞれ按分しますと、それぞれその按分率というのが出てまいりまして、学校の方が開発利益のだいたい57%ぐらい取得できる権利があって、渋谷ホームズさんの方が42%程度でしょうっていうのが通常の再開発。あの先ほど愛日小学校のケースみたいな完全にその土地を提供して、準備組合の組合員となって、こういう自治体がですよ。そういう風にして配分する場合はこのようになるわけです。そうしますとどういうことかと言いますと、全体の按分が学校建ててもらうだけであと全部プレゼントしてしまうというのは論外中の論外でして400億程度を資産を渋谷区の方に移動しないとですね、実際には公平性が保てないんではないかというのが私どもの見解でございます。従いまして先ほど吉田先生の方でご説明させていただきましたが贈与に相当するんじゃないか、これはそれぞれ課税当局の見解がありますけれども、になってくるわけですけれども、これだけの大幅なでは低廉譲渡は贈与少なくとも低廉譲渡に該当してしまうだろうな、そのように考えるわけです。

で、次にですね。あの、そうです。

すみませんここで吉田の方、次の予定がございまして先に退席させていただきます。申し訳ありません。

(吉田退席)

渋谷ホームズにおいてですね、平成25年、約9年前に。渋谷ホームズですね、平成25年にですね、建て替えの話が、検討が開始されまして、平成26年の6月に耐震診断が出ましてきわめて倒壊の危険性が高いという、そういう診断が下っております。で、その後ですね、渋谷ホームズさん、法人さん、主に不動産会社が44件売買で渋谷ホームズを取得しております。この間価格が2.5倍近く上がりました。バブルの影響もありますが、その中に思惑買いの部分っていうのはないんでしょうか。鑑定評価上、不動産価格は比準価格、収益価格、積算価格の3価格を関連付けて決定していくわけです。そのうち積算価格は土地価格と建物価格の合計となります。建物価格は古くなっておりますので、簿価は限りなく低いですが、土地の価格がですね、再三何度も申し上げますが、区道を取り込み、容積率1000%ともなりますとですね、土地の共有持ち分で按分しても最低でも積算価格でいくと2.5倍近く、2倍以上には価格上がってきてしまうんですね。渋谷ホームズマンションは建て替えの有無にかかわらず、渋谷区の地区計画が変更した時点で、その潜在価値が完全にグレードアップ(顕在化)しますので、その時点で価格上昇が保証されるということになると思っております。ですから建て替えの有無にかかわらずというところがミソですね、地区計画の変更、今回の都市計画上の変更手続きを得た段階で資産としてはそれぐらいの評価増が発生するということはご理解ください。これ実際のですね不動産関係のですね売り出し価格のデータベースなんですけれども2013年から2023年までの10年間の間にですね坪200万、坪160万170万ぐらいのですね、一気に上がりまして今坪700万を目指そうかっていうそういう状態になっているわけですね。これがですね思惑買いブーム特に法人さん44件購入されてその中に清水総合開発さん5件取得されて、東急さんが2件ですがそれ以外に多数のですね不動産会社が購入されている。倒壊の危険性が高いということが分かった後にですね。そういう購入されてるっていうのが現状です。

これまであまり話題にならなかったんですが、区道が廃止されることによって、小学校の資産価値が下がるだけではなくて、渋谷区役所で公園通りからのアクセスが公開空地によって人の動線はなんとか確保できるんですが車の往来ができなくなります。また建築基準法上の接道がなくなりますので、法的なですね、これは前2方接道の敷地だったんですけれども、これはですねこちらから区道が存在してたんですがこれが廃道にしてしまいますので、ここは接道のない敷地ということになってしまいます。歩道上空地はありますけどここの部分は本来はここまでは植樹帯であるべき話なんでそんなに広場上空地のような感じにはならないんじゃないかなと思っているんですけれども、そんなことで車の横づけも法務局の側しかできなくなります。これはですね、渋谷区役所におきましても、利便性そこを使う区民の皆様の利便性を損なうだけでなく敷地の評価も、区役所としての敷地の評価も2方接道敷地から1方接道敷地に変わるわけですので当然下がるわけです。先ほど神南小の敷地の評価が下がりますよって申し上げただけじゃなくて、渋谷区役所の敷地の評価も下がるということです。

以上総合的に勘案しますと、渋谷ホームズ神南小学校共に建て替えを急ぐのであれば、単独で建て替えるべきというのがしぶや区民の声を聞く会としての考え方です。私も6月7日に神南小学校単独建て替えの陳情書を渋谷区に提出いたしました。陳情審査結果は「趣旨は今後の参考にすることに決定しました」とのことですが、街区Aの小学校南側の細街路の方々は機運が熟してないので今回は見送りますというのが渋谷区の判断です。公共施設である区道や小学校と一体化する場合、区役所をはじめ街区Aに対する影響は非常に大きいです。もっと時間をかけて効率的な視点に立って進めていく必要があると思います。このまま進めば渋谷区はミスリードしたことになってしまいます。拙速の判断は後に後悔しか残りません。地区計画を一旦変更したらもしも渋谷ホームズの建て替え決議がまとまらなくても元に戻せませんしその場合神南小学校の建築費をどこが負担するのかわからなくなってしまいます。これまでの説明させていただいた内容につきまして、これから質疑応答に入らせていただきますが、その間ちょっと数分休憩とらせていただきますが、忌憚のないご意見ご質問いただけますと幸いです。よろしくお願いします。どうもご清聴ありがとうございました。